失われた体は元に戻ります! 本当!?
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こんにちは、等々力・深沢・中町にあるソフィア歯科医院の矢島です。
今回は失われた『体』はもとに戻るのか?というテーマをお話したいと思います。
結論から申し上げると、今の所、口の中限定ですが正直、ほとんど戻りません。
しかし期待しても良いというシチュエーションも十分にあります。
口の中は歯や骨による硬い組織と歯ぐきのような軟かい組織があります。
特に軟組織は元に戻る能力は高いですが、くらべて硬組織は低いです。
虫歯で失われた歯は元に戻らないようにエナメル質や象牙質はほぼ戻りません。
それでは骨はどうでしょうか?
それをお答えする前に、
そもそもなぜ、体の一部は失われるのでしょうか?
口の中を壊すものは『細菌と力』です。
力とは噛む力やブラッシングによる外圧、酸性度の高い液体などを指しますが、今回はテーマから外します。
細菌は常に口の中に『感染』しています。完全になくすことは不可能です。
そして骨を壊す細菌は主に歯周ポケットから増えていきます。
健康な状態であれば十分に除菌されていたり、免疫の力で少なくなっていますが、
除去されないままだと、その細菌が歯石を形成していくなおさら、状態は悪くなっていきます。
虫歯では酸をだして歯を溶かしていきますが、
歯周病ではLPSと言われる『毒素』を細菌はだします。
すると当然、『炎症』という状態になります。
炎症の5大徴候というものがあります。
1,発赤
2,腫れ
3,発熱
4,痛み
5,機能障害(動かしづらい)です。
突き指をしたときに是非、その突き指したところをじっくり見てください。からなずこの5つが当てはまります。
(そんな余裕はないかもしれませんが、、、)
この炎症が歯周病の場合、重度になってくるとサイトカインと言われるシグナル因子やたんばく質を分解する酵素が多量に発生し骨が溶けていくことになります。
そして歯周炎が発症し進行していきます。
このサイクルに喫煙や糖尿病や遺伝的な要因などがさらに加わると加速度的に歯周炎が増悪していきます。
このようにして骨がなくなります。
『歯周組織再生療法』というものはこの失われたものを可能な限り戻す治療法の一つです。一般的には外科的な治療法というカテゴリーになります。
ただその治療の前もその時も最も大切なことは『細菌の除去』です。
これは先程述べたように歯周炎の始まりは細菌の感染だからです。
炎症が骨を壊しますが、そもそも壊すきっかけは細菌だからです。
歯周組織再生療法の最大の利点は歯を支える骨の増大と歯ぐきが痩せていくのを遅らせることだと思っています。
また歯周ポケットの減少によってメンテナンスしやすくするのも利点としてあります。
骨が溶けたところには歯ぐきの細胞と骨の細胞、そして『歯根膜』といわれる骨と歯の間にある線維の細胞の3つがあります。
この『歯根膜』からの細胞(未分化間葉細胞)がうまく成熟してくれると骨の再生はうまくいきます。
成熟させるためには細胞たちがうまく移動できるための道路(足場)とガソリンとなる増殖因子が必ず必要になります。
この環境をいかに整えてあげるかがとても重要になります。
最後になりますが、病気というものは一体何でしょうか?
持続的に噛めることが目的という観点からすれば、
それを犯すものが病気ということになると思います。
歯周病はギネスブックに登録されるほど世界で蔓延している、病気を引き起こす感染症です。
持続的にしっかり噛めて健康でいられることが、いろんな点でメリットをもたらしてくれることは間違いありません。
骨を持続的に残し、今日も一日、細菌によって歯が失われないように健康的で豊かな毎日を送っていきましょう!
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
“当院では”歯を守る”重要性を含めて、歯周病治療、根管治療、矯正治療、インプラント治療、被せもの治療と総合的に診査・治療を行っています。
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