根管治療

当院が根管治療のクオリティにこだわる理由

歯の予後を左右する三大要因

① 歯質の量
② 歯の周りの骨の量
③ 歯根に神経・血管がある

この3つが歯の予後を左右する三大要因と言われていますが、そのすべてが根っこの治療(根管治療)に関わってきます。

むし歯が進行したりして歯のなかにある神経および血管まで達してしまった場合、根管治療が必要になります。

しかしながら、日本での保険適用の根管治療は8割が再治療になると言われており、 また海外では根管治療をして再発した場合、抜歯になってしまうというケースがあります。
ですから当院では、歯の予後を悪くさせないため、再治療させないための根管治療に全力を尽くしております。

当院の根管治療の3つの基本コンセプト

当院が根管治療を行う上で欠かせない基本コンセプトが3つあります。

その1.無菌的処置

まず根管内に新たな細菌を入れないことが根管治療において大切になります。
そのため使う器具の徹底した滅菌、滅菌処理が難しい道具のディスポーサブル(使い捨て)対応を徹底して行っています。

そして当院では必ずラバーダム防湿を行っています。
ラバーダム防湿とは、写真のように治療をする歯を隔離することで、他の歯への感染を防ぎます。
まだ唾液の侵入を防ぐことにより、治療効率も上げることができます。

その2.細菌の除去

根管内に細菌が感染していれば可能な限り除菌を行うことが大切になります。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)による拡大視野下で根管の発見を可能な限り行い、病巣となっている細菌を専用器具(やすりのようなもの)でしっかり除去します。
マイクロエンド=「拡大視野による精密な根管治療」といわれております。
これは最新の歯内療法学の中の科学的根拠に即した術式であり、現存するベストな器具と材料を使用して行う治療のことです。
勘と経験だけを頼りにした裸眼による今までの治療を全く覆すものです。
裸眼による治療の場合、問題部位の根管を発見できず見過ごしてしまう可能性があり、適切に細菌を除去できずに再治療となってしまうリスクが高まります。

一方マイクロエンド治療の場合、裸眼による治療法ではとても想像できないほどの“精度”で治療を行うことができます。
今までの治療では諦めざるを得ず抜歯になるケースや経過観察で治療を終えざるを得ない場合、難治化した歯をベストな状態にできる可能性があり、その結果、“歯を守る”ことができるのです。

その3.根管の封鎖

細菌を可能な限り除去しきったら、再感染しないために根管をいかに封鎖するかが大切となります。
根管内を除菌するため、洗浄剤がしっかり行き届くようにするため、そして最後に根管を封鎖しやすくするために、根管の形を整えます。
どのように根管の形を整えるかが、最終的にどのように密に封鎖をするかに影響するので、非常に大切なステップになります。

そして最後に付け加えておかなければならないのは、これらの基本コンセプトである細菌の除去(根管形成、根管洗浄)、根管の封鎖(根管充填)がしっかりされているか、必要な治療が出来ているか、を一貫してしっかりレントゲン写真を用いて評価をしながら治療を進めていくことも、根管治療を成功させるうえで、当院では欠かせないステップとなっています。

歯根端切除術・意図的再植治療について

歯根端切除術

基本コンセプトに基づいて根管治療を行ったとしても根管外に感染が起きている場合は、難治化しやすく、通常の根管治療のアプローチでは治癒が難しく、外科的な治療が必要になってきます。

具体的には、通常の根管治療で用いるやすりで、細菌を除去しきれない根管がある場合、「歯根端切除術」という外科的治療を行います。難治化した根尖性歯周炎を治療する場合に用いられます。
主に根の先端3分の1に除去しきれない細菌が多く存在するといわれております。

歯根端切除術にて、根の先端を除去しMTAセメントを詰めること(逆根管充填)によって、より確実に難治化している部位を除去できさらに根尖を封鎖することができます。

当院では、この歯根端切除術をマイクロスコープを用いて行うことで、根管治療の成功率が90%を超えています。

この治療法を確立していることにより、歯を守ることができるのはもちろん、歯の予後を向上させることができます。

意図的再植術

しかしながらこの歯根端切除術は、最後臼歯に行うことは解剖学的理由(歯の場所)から非常に困難となり得ます。
その場合は、「意図的再植術」という治療法があります。
一旦意図的に歯を抜いて、お口の外で治療を施してから再度元の位置に戻すという治療法で、当院にてアプローチが可能です。

このような外科的アプローチを当院では行っており、「歯を残す」ための最終手段として行うことで、飛躍的な成果を上げています。

歯の神経及び血管(歯髄)を残す治療
~歯髄温存療法~

歯髄温存療法とは、文字通り歯の神経及び血管(歯髄)を残すことのできる治療法です。

虫歯が歯髄近くまで達し、細菌が歯髄を汚染していて炎症が起きている場合、これまでは歯髄を取ることが一般的でした。 しかしながらまだ歯髄が生きている部分がある場合には、この歯髄温存療法を行うことで歯髄を残すことができる可能性があります。

歯髄温存療法には大きく分けて3つの方法があります。

一つは、虫歯の一部をあえて残し薬剤を注入して再石灰化を促します。(覆髄法)一定期間(4~8ヶ月間)待って再石灰化がうまくいけば、再度残りの虫歯を取り除いて、最終的な詰め物を詰める方法です。

もう一つは、部分的断髄法(シベックパルポトミー)といって、感染してしまった歯髄を約2mm除去し、MTAという材料を詰めて封鎖するという方法があります。
5年の経過で93.5%の成功率という報告があります。

最後の一つは、歯頚部断髄法(フルパルポトミー)といいます。
部分的断髄法とほぼ同じ方法ですが、除去する歯髄の量がより大きい場合にいいます。
主に乳歯に行われてきた処置ですが、永久歯でも治癒が期待できます。
歯髄の除去する量が増加すると治癒する可能性が増加しますが、必要以上の治療となるリスクも考えないといけません。

これまでは虫歯が歯髄近くまで達していた場合、歯髄を残すことが難しかったのですが、現在ではこの歯髄温存療法によって歯の歯髄を残せる可能性が飛躍的に高まりました。

成功の是非は感染のコントロールと炎症の状態、あるいは血流量によって影響されますが、歯髄を残したい場合、この歯髄温存療法を行う価値は非常に大きいと言えます。

根管治療の目的とは?

最後になりますがそもそも根管治療の目的とは何でしょう?
それは一言でいえば「根尖性歯周炎の予防と治療」です。
根尖性歯周炎とは根の先端におきた病気のことです。
それを起こさせないこと、起こっているならばそれを治すことが目的です。

では根管治療の目的を達成するために欠かせないもの、
それは、
1.診断力と意思決定力(治療するのかしないのか)
2.基本コンセプトを守ること(無菌的処置・細菌除去・根管の封鎖)
3.コンセプトを再現する個々のテクニック
  (根管形態を整えるテクニック、洗浄するテクニック、封鎖するテクニックなど)

4.最終手段である外科的処置(歯根端切除術・意図的再植治療)のテクニック

となります。

当院では、これら1~4を根管治療を成功させるピラミッドとして捉えており、どれも欠かすことはできないと考えております。
これらを徹底して実践することで、根管治療を成功へと導く可能性を出来る限り高めております。

ページトップへ